「コーチングを勉強してみたけれど、正直、うまくできている気がしない」
部下との1on1の場で、そんな違和感を覚えたことはありませんか?
質問を投げかけても会話が広がらない。部下の反応が薄くて手応えがない。
その原因は、あなたのスキル不足ではなく、初心者が陥りがちなちょっとした落とし穴にあるかもしれません。
この記事では、私、つよぽんが経験した、コーチングを学び始めたばかりの方が無意識にやってしまいがちな3つのミスと、それを防ぐための具体的な対処法を紹介します。明日からの1on1に自信を持ちたいあなたに、ぜひ読んでほしい内容です。

【この記事を書いた人】
つよぽん
専門ジャンル:人生、挑戦、教育
初心者によくある悩みは「できてる感がない」
コーチングの基本を学び、質問の型や傾聴の重要性も理解しているはずなのに、なぜか部下との1on1では手応えがない。1on1の時間が「ただ話を聞いて終わっただけ」のように感じてしまう。
そんな違和感を抱えるコーチング初心者の方は少なくありません。実はその裏には、「技術」ではなく「感覚」のズレが起きていることが多いです。ここでは、1on1にコーチングを取り入れた上司によくある2つの悩みについて、掘り下げて見ていきましょう。
質問はしているけれど、会話が続かない

1on1で「この先のキャリアは、どんなイメージ?」「〇〇に向けて、どう進めていきたい?」などのオープンクエスチョンを投げかけている。けれど、部下から返ってくる答えが短かったり、話が広がらなかったり⋯そんな経験はありませんか?
これは、質問が「出来事の確認」で終わってしまっていることが原因の一つです。部下の言葉の奥にある感情や背景に気づけていないと、相手の思考も浅いところで止まることがあります。もしかすると、あなたは「質問をする」ことに意識が向きすぎて、「部下の今」に目が向いていない状態なのかもしれません。
部下の反応が薄く、なんだか手応えがない
話は進んでいるのに、どこか盛り上がらない。表情が読み取りにくく、リアクションが少ない。1on1中にそう感じると、不安になりますよね。
しかし、その手応えのなさは、あなたの力不足ではありません。
これは、コーチ役の自分自身が緊張していることが原因かもしれません。「1on1をうまくやらなきゃ」と力んでいると、自分の緊張感が部下にも伝わってしまいます。すると、部下も無意識のうちに、「きちんと答えなきゃ」と構えてしまっているのかもしれません。
コーチングは「うまくやる場」ではなく、「相手と一緒に探る場」です。そう捉えることで、雰囲気が良くなっていくでしょう。
コーチング初心者が陥りがちな3つのミス
「うまく質問できていないのかもしれない」「なんとなく場がぎこちない」
そんな違和感を抱える初心者が、実は同じようなミスを繰り返していることがよくあります。それは決して能力不足ではなく、誰もが最初に通るつまずきポイントです。
ここでは、コーチングを学び始めたばかりの人が無意識にやってしまいがちな、代表的な3つのミスを紹介します。
①話を聞きながら、次の問いを考えてしまう
部下の話を聞いている最中に、「次はどんな質問をしよう?」「うまく深掘りできるかな?」と頭の中で考えながら聞いてしまうことはありませんか?
これは多くの初心者がやってしまう落とし穴のひとつです。問いを考えながら聞くと、部下の話だけでなく、表情や雰囲気を読み取ることができません。例えば、「今月は営業で◯件の契約を取る」という目標を部下が持っているとします。そのために、「1日△件の電話をして、◇件アポに繋げる」という行動について話してくれているのに、表情は暗くて、不安を抱えていることがあります。もし、あなたが別の問いを考えながら部下の話を聞いていたら、部下はどう感じるでしょうか。
「別のことを考えながら人の話を聞く態度」は相手に伝わります。私自身、相手からのフィードバックで指摘されたこともあります。さらに、自分自身の不安そうな表情や焦っている雰囲気も、実は相手に伝わっています。
話す内容に加えてジェスチャーや表情に気づくためにも、問いを考えながら聞くのではなく、相手の話に集中することが大切です。
②1on1を「成果を出す場」と思い込みすぎて誘導してしまう
「1on1では、部下に何かしらの成果を感じてもらわなきゃ」
そんな思いから、知らず知らずのうちに誘導してしまっていることはありませんか?
例えば「つまり、こういうことですか?」と自分の解釈を押しつけてしまったり、「この方向で進めてみるのはどう?」と提案してしまう場面です。
もちろん上司の善意からの言葉だと思います。しかし、コーチングの本質は「内側から出てくる答え」を大切にすることです。そのため、上司が先回りして道を示してしまうと、部下が自分で気づくチャンスを奪ってしまうことになります。
また、上司が「成果」を求めている雰囲気が部下に伝わると、安心して話すことが難しくなるでしょう。もしかすると、部下は「良いことを言わないと」と焦っているかもしれません。
1on1では「成果」にこだわらず、「安心して話してもらう場」と捉えてみてはいかがでしょうか。安心して1on1に臨めることで、明日からの成果に繋がるかもしれません。
③メモをとりすぎて、相手の表情が見えていない
1on1の場で「大事なことはメモしないと」「後から振り返れるように記録しておこう」と思うあまり、ノートに視線が落ちっぱなしになっていませんか? 私は、コーチングを始めた頃はメモばかり取っていたのですが、セッションの録画を見返すことで、ずっと下を向いていることに気づくことができました。
確かにメモは大事な要素です。しかし、それが部下とのつながりを妨げてしまっているなら、1on1の効果が半減してしまいます。表情の変化、ため息、言葉のトーンなど、言葉ではないコミュニケーションに、部下の本音をつかむヒントがあります。そのため、メモは最低限でも大丈夫です。
また、私自身の経験ですが、相手の目を見ながら集中して話を聞くと、メモがなくても記憶に残りやすいと感じました。相手の表情を読み取りながら話を聞くことで、さらに深める問いに繋げることもできます。そうすることで、誘導しなくても、セッションがスムーズに進んだりもします。
ちょっとした工夫で、1on1はもっと良くなる
職場での1on1は、特別なスキルや資格がなくても成り立ちます。ちょっとした意識の持ち方やふるまいの変化だけで、部下との1on1の質は驚くほど変わってきます。
ここでは、初心者の方でもすぐに取り入れられる、実践的な3つの工夫をご紹介します。どれもシンプルですが、実践してみると大きな違いを生むものばかりです。
相手を「対等なパートナー」と捉える

より良い1on1をするためにコーチングを学び始めたばかりの頃は、「自分がちゃんと導かなくては」と思ってしまいがちです。しかし1on1の場では、上司と部下は上下関係ではなく、対等なパートナー関係で結ばれることが重要です。
「支援する側」「される側」と分けてしまうと、自然と主導権を握ろうとしたり、正解を提示しようとしてしまいます。1on1の場は相手を対等なパートナーと捉え、「この人と一緒に探ってみよう」というスタンスをとることで、緊張がほぐされるでしょう。
メモを最小限にして「今、ここ」に集中する
話の内容を忘れないように⋯と、ついノートに手が伸びてしまう気持ちはよく分かります。
ですが、部下の表情や声のニュアンスを感じるには、勇気を出してメモを取らないことが大切です。
1on1のコミュニケーションでは、細かい表情の動きや、微妙な間が重要なヒントになります。「今、何を感じているんだろう?」と目の前の空気に意識を向けてみましょう。上司が集中して話を聞く姿勢は、きっと部下に伝わるはずです。それが部下の安心感につながり、より深いモヤモヤや考えを話すきっかけになるかもしれません。
より良い1on1を実現するためにメモは最低限にとどめ、テーマや特に重要な内容は、1on1の後に簡単にまとめてみてはいかがでしょうか。
表情や雰囲気を相手に伝えてみる
部下の話にじっくり耳を傾けながら、自分の感想をほんの少し伝えてみることも大切です。
「それ、すごく大変だったんですね」「ちょっと驚きました」といった率直な気持ちを一言で返すだけでも、対話がぐっと深まります。
また、「〇〇の話をしているときの方が、△△の話のときよりも表情が明るかったですよ」という言葉も効果的です。話をしているときの表情に、自分で気づくことは難しいものです。あなたからの一言を通じて、自分の表情や雰囲気を知ることもできます。
1on1の主役はあなたではありません。主役は相手である部下です。上司が感じたことを部下にフィードバックすることで「パートナー感覚」が芽生えます。嘘をついたり、無理に共感の言葉を伝える必要はありません。普段の会話のように、「ちゃんと聴いていますよ」「一緒に考えてますよ」という温度感を、言葉と表情で伝えていくことが大切です。
初心者だからこそ、大切にしたいこと
「まだ経験が浅いから」「自信がないから」
そんなふうに感じている方にこそ、伝えたいことがあります。1on1に必要なのは、完璧なスキルや洗練された話し方ではありません。大切なのは、「相手と向き合いたい」という誠実な姿勢と、自分の感覚を信じる勇気です。
ここでは、初心者だからこそ意識しておきたい2つのポイントをご紹介します。
1on1の流れと問いは事前に確認
1on1中に焦ってしまう大きな原因のひとつが、「何を聞こう?」「次にどう進めればいい?」という迷いです。それを減らすためには、事前に大まかな流れと、使えそうな問いを整理しておくことが有効です。
例えば、今回の1on1はどんなことに気をつけるか、どんな流れで進めるかなど、おおまかな構成イメージを持つだけで、安心感がまったく違います。
そのうえで、問いのパターンをいくつか準備しておくと、いざというときに落ち着いて対応できるようになります。問いのリストを思い出して聞くのではなく、その場の流れで自然と聞くのがポイントです。勉強したコーチングの型に頼りすぎず、道しるべとして活用しましょう。
自分の直感を信じる
初心者のうちは、「さっきの言い方で良かったのかな」「もっとオープンに聞けたかも」と不安になることが多いものです。しかし、1on1でふと浮かんだ問いや気づきには、あなた自身の感性や人間性が表れています。また、あなたはコーチングや1on1の知識がゼロではないはずです。まだ慣れていない部分があっても、問いや場の流れ、型について学んで実践しようとしています。だからこそ、自信を持って自分の直感を信じてください。
たとえうまく言葉にできなかったとしても、「ちょっと気になったことがあるんですが⋯」と素直に切り出してみることが、深い対話の入口になることも少なくありません。上司の主観を押しつけるのではなく、感じたことを一言で伝えてみてはいかがでしょうか。
経験が浅いからこそ、型に縛られず、部下と真っ直ぐに向き合える強みがあります。迷ったときこそ、自分の直感や違和感を信じてみましょう。
まとめ
コーチング初心者が陥りがちなミスには、1on1を「うまく進めよう」と考えるあまり、部下への意識を見失ってしまうという共通点があります。しかし、ほんの少し視点を変えるだけで、1on1の質は大きく変わっていきます。
・部下をパートナーと捉える
・メモを最小限にして「今、ここ」に集中する
・表情や雰囲気を相手に伝えてみる
意外とシンプルな意識が、信頼関係をつくり、深い対話を生み出す土台になります。ぜひ今日の1on1から、できそうなことをひとつだけ試してみてください。


